わたしも住人になりたい


どこから行っても遠い町 (新潮文庫)DocumentaLy(初回限定盤A)CD+DVD+豪華ブックレット
今週は通勤電車の中や昼食の時などに、川上弘美さんの『どこから行っても遠い町』を読んでかなり癒された。ほっと一息つける本。日常とは別のベクトルで流れる時間を生きられる幸せについて思う。現実とは別に、居場所があるということ。日常に戻れなくなるほどトリップするのは危険だけど。ちょっと危ない瞬間があったけれど、かろうじて本を閉じた。この小説は連作短篇集で、毎回話の主人公が変わるのだけど、それぞれがゆるやかにつながっている。川上弘美さんが書く、粋で、ぼんやりとしていて、不埒な人たちが好きだなあ。わたしもこの町の住人になりたい。現実よりも小説の世界のほうになじんでいる。


先日買ったサカナクションの新しいアルバムもとてもよくって、もうずっと聴いてる。通勤電車に揺られながら目を閉じてこのアルバムを聴いていると、あまりにも時が濃密に満ちていくのがわかって、電車を降りなくていい気がしてくるからこれも危険。でも降りる。座席からすっと立ちあがり、わたしと入れ替わりに座る人の顔はできるだけ見ない。