ダ・ヴィンチを読む

ダ・ヴィンチ 2011年 11月号 [雑誌]

ダ・ヴィンチ 2011年 11月号 [雑誌]


今月、すごくひさしぶりにダ・ヴィンチを買いました。
「文庫ランキング」という特集に惹かれて。


以下、気になったところのメモ。


三浦しをん×藤田香織の対談で、しをんさんが『秘密の花園』と『私が語りはじめた彼は』の2冊について、「これが書けなかったら作家を続けられなかっただろうな、と思う大事な作品です」と仰っていた。読んだことのある三浦しをん作品のなかでも特別好きな2冊だったから、うれしい。特に『秘密の花園』は大切な物語。「『秘密の花園』は小説としては4冊目で、これを書いているときに初めて自分はこういうものを描きたいんだ、って水脈みたいなものが見えたんですよ」と、しをんさん。そうだ、『秘密の花園』のなかでこの価値観好き!と思った大切な要素が、『風が強く吹いている』にもエッセンスとして生きていたから、この作家さん信頼できる、これからも着いていく、って思ったんだった。


枡野浩一の「読むと恋をしたくなる歌集”ベスト3」のなかに穂村弘×東直子の名作『回転ドアは、順番に』が! 「男女ふたりの歌人が交互に短歌を読み合うという、とてもエッチな試み」ですって。たしかにエッチな本だわ。うっかり友だちにプレゼントしたらその子のお母さんに「まあ、こんなエッチな本…!」って言われたわ。でも、あらゆる人に手にとってほしいなぁとお節介ながら思ってしまう、すてきな本なのです。文庫だからお手ごろだし、短歌興味なくても大丈夫。


回転ドアは、順番に (ちくま文庫)

回転ドアは、順番に (ちくま文庫)

表紙もかわいい。


あら、林あまりの『ベッドサイド』って、新潮文庫になってたの?
でも「品切れ」とある。どうりで見ないはずだ。


ピース又吉さんのロングインタビューもおもしろかったです。

「“ディズニーランドに行きたい”って言ってた彼女が、僕が好きで読んでた本を、勝手に“貸して”って読みだしてから、ほんまに変わってしまったこともありましたから。“ディズニーランド? そんなん別に全然行きたくない”みたいに言われた時、すごく怖くなりました。原因は本だけじゃないのかもしれないですけど、ひとりの人間の感覚がここまで変わってしまうものかと」

ってところが特におかしかった。又吉さん、彼女が俺色に染まってくれてうれしい、とは思わないんだね。そこで怖くなっちゃうのが又吉さんなんだねえ。


又吉さんといえば、「てれびのスキマ」さんの「ピース又吉の邂逅の書」という記事がタイムリーで、しかも物凄くいい話でした。後でもう一度じっくり読みたい。http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/20111016



川上未映子さんのインタビューによると、『すべて真夜中の恋人たち』は単行本化にあたって、大事な箇所を加筆したとのこと。なんと、群像で読んだときは伏せられたままだったあの箇所の真相が…! 単行本、買ってよかった。じっくり読もう。


新刊情報で特に注目すべきは角田光代の『くまちゃん』の文庫化と、山崎ナオコーラ『長い終わりが始まる』の文庫化。文庫化が待ち遠しかった二冊です。


最後に、漫画家ヤマシタトモコさんのツイッターでの言葉を。

漫画は、誰かを傷つけたり誰かに謗られたりを意識した瞬間に描けなくなります。描けるのは、『描きたいこと』がその恐怖を上回ったときだけです


市川春子さんのページは、作品集Ⅱを買ってから読むことにしよう。
それにしても、付録のない雑誌に安心感を覚えます。一冊の雑誌本来の厚さと重み。